腫瘍科
近年、去勢・避妊手術や予防接種が普及し動物の寿命が延びる代わりに、「がん」の発病率や死亡率が増加しています。 海外の文献でも、ある犬種の 死亡原因のおよそ80%が「がん」と報告されるほどです。治療は急速に進歩しており、抗がん剤療法、外科手術、放射線治療、BRM療法など、様々な方法で「がん」を治療することが可能です。「がん」と診断されても治療を諦める必要はなく、患者様、飼い主様、獣医師が連携をとって治療に当たることが非常に大切です。

がんの診察・診断・治療の流れ
1.動物病院への御来院
●定期健診で来院
●ワクチン接種等で来院
●日常生活の中で異常を見つけて来院
●ペットにできている、いぼ、しこり、おでき等を見つけて来院
2.腫瘍科で診察
診察に関して重要なのは、触診・聴診・視診・臭診といった五感を使った診察と、これまでの経験を活かすことです。これはがんに限らず、あらゆる疾患の診断において基本となります。五感を使った観察を徹底することで、その全身状態や病状、問題点を明らかにしていきます。さらに、豊富な治療経験があれば当然診断精度は上がります。問題点に気付く力こそ診断技術の根幹であると考えます。
3.なんらかの問題点が見つかる
視診でおできを確認・触診でしこりを確認・臭診で違和感がみつかった場合は、全身状態を考慮した上で必要な検査を行っていきます。
4.問題点を明らかにするための検査
●しこりが明らかに存在する場合
しこりの大きさ、場所、固さ、血管の位置などを考慮して、可能であれば細胞診を行います。(細胞診とは、注射針でしこりから細胞を採取し、顕微鏡で細胞を観察する検査です)
●しこりはないが、全身状態などに問題があり、腫瘍の可能性が考えられる場合
一般的な血液検査・レントゲン検査・エコー検査などにより、詳しく調べていきます。
5.必要に応じ、精密検査を実施
もしもこの段階で「がん」が疑われる場合は、さらに細部まで特殊検査を行い、問題点であるしこりに対して詳しい検討をしてきます。
●細胞検査
●特殊レントゲン検査
●特殊超音波検査
6.治療方針の決定
診断結果、患者様の全身状態、飼い主様のご意向を踏まえて、今後の治療方針を相談させて頂きます。「がん」の治療法は一つだけではありません。それぞれの治療法の利点・欠点をご説明させて頂き、最終的に飼い主様のご判断により治療方針を決定し、治療を行っていきます。