心臓病について

肺動脈弁狭窄症（PS）は、肺動脈弁が狭くなり、肺への血流が妨げられて右心室に負担がかかる病気です。軽症では無症状のことが多く、経過観察となりますが、重症では突然死のリスクがあり治療が必要です。治療には、外科手術またはカテーテルによるバルーン拡張術があり、選択は狭窄の部位や動物の状態によります。詳しくは獣医師にご相談ください。

動脈管は、胎児期に肺を通さず全身に血液を送るための血管で、出生後は不要となり通常1〜2日で閉じます。動脈管開存症（PDA）はこれが閉じずに残る先天性心疾患で、未治療では約70％が18ヶ月以内に死亡するため、早期治療が重要です。治療法には外科的結紮やカテーテルによる閉塞があります。

僧帽弁（mitral valve）は、左心房と左心室の間にある2枚の弁で構成されています。僧帽弁逆流症（または僧帽弁閉鎖不全症）は、この弁がうまく閉じなくなり、左心室から左心房へ血液が逆流する状態をいいます。

三尖弁は、右心房と右心室の間にある弁で、血液が右心室から肺へ送られる際に右心房への逆流を防ぐ役割があります。三尖弁閉鎖不全症は、この弁がうまく閉まらなくなり、血液の一部が右心房に逆流する状態です。その結果、右心房に負担がかかり、進行すると右心室にも影響を及ぼすことがあります。

肥大型心筋症は、高血圧や弁膜症などの原因がないにもかかわらず心筋が異常に肥大する病気で、主に左室の拡張機能障害を引き起こします。心筋の肥大は不均一で、血液の流れが妨げられると「閉塞性」と呼ばれます。タイプには、非閉塞性や心尖部型などがあります。猫に多く見られ、特にメイン・クーンやスコティッシュ・フォールドなどで発症しやすいです。