40年前に実父と再婚した母へ生前贈与された不動産。子は遺留分減殺請求できる?
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弁護士が教える相続トラブル事例
遺留分減殺請求はよくありますが、
40年前の生前贈与となるとレアケース。
しかしトラブル回避のポイントは、
どの相続にも当てはまります。

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Q&A

読了時間の目安:5分

事例の概要

B子さんは、再婚した夫のAさんからすべての財産(約1億円の不動産)を、約40年前に生前贈与されていた。Aさんが死亡し相続が発生した際、相続人であるAさんの実子3名(Cさん、Dさん、Eさん)は、登記簿謄本などからこの事実を把握。B子さんに対して、遺留分減殺請求の訴えを提起した。

遺留分減殺請求とは?

「遺留分」とは、法定相続人のうち配偶者や子などに認められている「遺産の最低限の取り分」のことで、民法に定められています。たとえば、遺言に法定相続分(基準となる遺産の分割割合)より少ない額の遺産しかもらえないと記載されていた場合でも、最低限、遺留分の額まではもらえる権利があるということです。

このケースでは、Aさんが妻のB子さんにすべての財産を贈与してしまっていました。しかし本来なら、相続人である子にも1/2(1人あたり1/6ずつ)の法定相続分があり、その半分の1/4(1人あたり1/12)が遺留分。なお遺留分は、その権利を有する相続人が自ら請求する必要があり、その手続きが「遺留分減殺請求」というわけです。

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「40年前」の生前贈与に対しても遺留分減殺請求は可能?

相続人のうち、被相続人(Aさん)の実子であるCさん、Dさん、Eさんの3名は、40年前の生前贈与について、遺留分権利者に対する侵害として訴えを提起しました。

おもな争点は、「40年前の贈与を遺留分減殺できるかどうか」ということです。民法1030条には、「贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、その価額を参入する」とあり、また「当事者双方が、遺留分権利者(本件では子ら)に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても参入する」とあります。

通常は遺留分の請求できる権利を知った時(被相続人が死亡した時)から1年以内に何らかの請求をしないと、遺留分の権利は消滅しますが、このケースでは、じつに40年以上前にした贈与の遺留分を請求するというものだったのです。

この請求が認められるか否かの最大の争点は、贈与者(Aさん)と受贈者(B子さん)が、将来の遺留分権利者に損害を加える事実を知っていたかどうか、にあります。大審院(現在の最高裁にあたる裁判所)による戦前の判例等により、これを証明しなければならないのは請求する側であるCさん、Dさん、Eさんでした。

40年前といえばまだ3人とも生まれていません。生まれるずっと以前のことを証明するのは難しく、裁判は難航しました。

ところが一審の開始から2年半ほど経ったころ、本件の審理にも大きな影響を与える、次のような最高裁判決が出たのです。

民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法一〇三〇条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。
【平成10年3月24日 最高裁判決】

今回のケースに当てはめると、遺留分減殺請求を認めることがB子さんにとって酷である、などの特段の事情がない限り、40年前の贈与であっても遺留分減殺の対象となる、ということです。そしてB子さん側が「遺留分減殺請求を認めると酷である」ことを証明しなければならなくなりました。

最終的には、全面的に原告(実子ら)に有利な裁判所による和解が成立しました。B子さん側は「酷である」ことを証明するのが難しかったわけです。通常なら、最高裁まで行くようなケースですが、最高裁の新しい判決が出たという偶然も含め、非常に印象に残っています。

実際に遺留分減殺請求をお考えの場合は、お早めに経験豊富な弁護士へ問い合わせることをおすすめします。今すぐメールで問い合わせる→

こんなトラブルを防ぐには?

そもそも、Aさんがすべての財産をB子さんに贈与してしまったということが発端です。生前贈与をする際には、やはり遺留分についても考慮すべきでしょう。もちろん、遺留分のことをご存知ない方も多いのですが、弁護士などに相談していれば、適切なアドバイスが受けられたはずです。

何十年も経ってこんな裁判を起こされてしまったら、贈与された側もびっくりしてしまいます。そんなことにならないよう、贈与される人の立場も十分に考えて贈与してほしいですね。

40年前となると極めて稀ですが、10年、20年くらい前のケースならたくさんあります。昔のことになればなるほど、資料を集めたり、記録を探したりするのが大変になっていきます。覚え書きでも、日記でもよいので、自分の財産についての記録をきちんととっておく、ということは重要です。

遺留分にもきちんと配慮した遺言書を作成しておくと、トラブルの回避に役立ちます。今すぐメールで問い合わせる→

執筆者:谷口賢

執筆者顔写真
在籍事務所 谷口賢法律事務所
事務所所在地 〒830-0021 福岡県久留米市篠山町179-3-1F
対応資格 弁護士※事務所在籍者の保有資格

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