ガスはつく・水は出るのにお湯が出ない場合の原因は?対処法もまとめて解説
毎日、何気なく使っているガス給湯器が「ガスはつく」「水は出る」でも「お湯が出ない」状況になった場合、まずは故障を考えるでしょう。しかし、水は出るがお湯がでない原因は故障だけとは限りません。
そこで今回は、ガス給湯器の「ガスはつく・水は出るのにお湯が出ない」場合の原因や対処法について詳しく解説します。
ガスはつく・水は出るのにお湯が出ない場合に確認すべきポイント
多くのご家庭では、水道を使う「直圧式(瞬間式)」のガス給湯器が使われています。水道管の水がガス給湯器本体の配管を通り、センサーが水を感知して点火して水を温め、お湯が給湯される仕組みです。
この章では、そんなガス給湯器の「ガスはつく・水は出るのにお湯が出ない」場合の確認すべきポイントを説明しましょう。
お湯が出ない箇所の特定
ガス給湯器で「ガスはついて水は出るがお湯が出ない」場合は、お湯が出ない箇所を特定する必要があります。確認箇所は、次の5つです。
確認箇所 |
内 容 |
---|---|
エラーコードの表示 |
リモコンのエラーコードの表示によって対応が異なるため、使用しているガス給湯器のメーカーのマニュアルやWebサイトを確認する |
水道設備 |
一部の蛇口か家庭内全ての蛇口かを確認する |
ガスの供給 |
ガスの元栓・ガスメーターの停止・ガスの残量を確認する |
安全装置システム |
地震や台風など自然災害の影響で作動し、ガスの供給が遮断されることがあるため、ガスの臭いの有無を確認する |
ガス給湯器 |
本体の故障を確認する |
エラーコードの表示が、マニュアルやWebサイトの手順で解除されれば、お湯が出るようになります。
ほかの特定箇所は、専門的な工具や知識がないと対応が難しいため、ご家庭で修理しようとせずに専門業者に相談しましょう。
ガスはつくのに一部の蛇口からお湯が出ない場合の対処法
「ガスはつくのに一部の蛇口からお湯が出ない」場合は、キッチンの配管の不具合や水栓の故障が原因かもしれません。また、蛇口自体が故障しているケースも考えられます。
ガス給湯器の故障とは限らないため、家の中でお湯を使うお風呂やキッチンなどを全て回り、各蛇口をチェックしましょう。追い焚き機能がついているタイプの場合は、追い焚きできるかどうかの確認も必要です。
給湯温度の確認
「ガスはつくのに一部の蛇口からお湯が出ない」場合は、給湯温度も確認しましょう。一部の蛇口だけお湯が出ないということは、その蛇口の給湯の温度を低く設定している可能性があります。
お子さんがキッチンで手を洗う際に温度を下げ、そのままにしていませんか。もしかしたら湯量を少なくしたため、「お湯が出ていない」と勘違いしたのかもしれません。
給湯温度が低い場合は温度を上げれば、いつものようにお湯を使えるようになります。湯量が少ない場合は、蛇口を大きく開いてみましょう。
ガスはつくのに全ての蛇口からお湯が出ない場合の対処法
「ガスはつくのに全ての蛇口からお湯が出ない」場合は、まずはガス給湯器本体を確認しましょう。
経年劣化による給湯器の故障や、自然災害による一時的なガスの遮断が原因かもしれません。ガスを使う各部屋のファンヒーターや床暖房・キッチンのガスコンロなどを見て回り、点火するかをチェックしましょう。
もし点火しない場合の対処法は、次の3つです。
確認箇所 |
対処法の詳細 |
---|---|
ガス給湯器のコンセント |
・コンセントが抜けていたら入れ直す |
ブレーカー |
・ほかの家電で電力を大量に使ってブレーカーが落ちていたら戻す |
水抜き栓フィルター |
・フィルターを確認してゴミなどが溜まっている場合は、目詰まり箇所を掃除する |
この3箇所の対処法を試してもお湯が出ない場合は、ガス給湯器の故障が考えられます。
購入後の経過年数によって、修理と交換のどちらにするかを検討しましょう。
ガス給湯器リモコンの故障チェック
先ほどの3つの対処法を試しても状況を改善できない場合は、ガス給湯器のリモコンが故障しているかもしれません。リモコンの電源を入れても反応しない場合は、電池を交換しましょう。
一方、リモコンの電源を押して反応があるのにガス給湯器が作動しない場合は、リモコン自体の故障が考えられます。取扱説明書やメーカーの公式Webサイトでご使用の機種を確認し、対応している新しいリモコンと交換しましょう。
ガスがつかない・水も出ない時の対処法
「ガスがつかない・水も出ない」時は、配管などの不具合で断水または止水されているかもしれません。
水道会社に連絡して水の出ない蛇口の配管を点検してもらい、必要に応じて交換する必要があります。連絡する前に全ての蛇口から水が出ないのか、一部の蛇口のみかも確認しておきましょう。
自然災害でお湯が出ない場合の対処法
屋外設置タイプのガス給湯器は、自然災害でお湯が出なくなることも珍しくありません。
気温がマイナス3度以下になるような寒波に見舞われた場合は、水道が凍結してお湯が出なくなることがあります。また、震度5以上の地震が起こった場合は、ガスメーターの感震作動がガスを遮断したのかもしれません。
凍結したら自然解凍で使えるようになりますが、急いでいる時は、ぬるま湯をかけるかドライヤーを使うと早く復旧します。地震でガスが止まってお湯が出ない時は、ガスメーターの遮断解除とガス給湯器のエラー表示をリセットしましょう。
ガス給湯器の故障が疑われる場合の対処法
ガス給湯器の故障が疑われる場合の対処法は、修理または交換が必要です。
どちらの方法を取るかは、次の3つを判断基準にするとよいでしょう。
- 購入して1~2年程度で、メーカーの保証期間に該当するか
- 使用年数が8年以上を経過しているかどうか
- 修理と交換の費用のどちらが安いか
メーカーの保証期間内に故障した場合は、基本的に無償で対応してくれます。保証期間を過ぎた場合は、ガス会社または専門業者への依頼を検討しましょう。
ガス給湯器のトラブル予防とメンテナンス
地域によっては、真冬に外気温が急激に降下し、ガス給湯器が凍結して蛇口からお湯が出なくなることもあるでしょう。多くのガス給湯器は、凍結予防策として本体にあらかじめ2つの凍結防止機能「自動ポンプ運転」と「凍結予防ヒーター」が備え付けられています。
ただし、分電盤の電源が入っていない場合や、ガス給湯器の電源プラグが抜けていると作動しないため、毎年冬になる前に確認しましょう。また、長く使用するためには、定期的なメンテナンスも必要です。毎日使うからこそ定期的に汚れをチェックして故障を未然に防ぎ、ガス給湯器の寿命を延ばしましょう。
ご家庭でできるメンテナンス箇所と方法は、次の通りです。
メンテナンス箇所 |
方 法 |
---|---|
外装 |
・水拭きして汚れを拭き取り、仕上げに全体の水気を乾いた布で拭き取る(洗剤は台所用中性洗剤を使用) |
排気口・給気口 |
・ホコリやゴミを取り除く(ススがついている場合は不具合の可能性があるため、業者やメーカーに問合せる) |
浴槽循環金具 |
・布を水で濡らして表面の汚れを拭き取り、ゴミを取り除く |
ストレーナー |
・歯ブラシなどを使ってゴミを取り除く |
家庭用ガス給湯器は、ガス事業法により4年に一度のガス会社による「法定点検」が義務付けられています。なかには、2年に一度としている業者もあるようです。
ご家庭でのメンテナンスで相談したいことがあれば、点検の際に相談してみましょう。
ガス給湯器のセルフチェックが危険と言われる理由
ガス給湯器は、定期的なメンテナンスで長く使用できますが、セルフチェックには危険も伴います。素人判断で機器を触るとガス漏れや引火・感電の危険性もあるため、注意が必要です。
特に、10年前後の長期間にわたって使用しているガス給湯器は、適切な量の酸素を送れなくなると、一酸化炭素の発生によって不完全燃焼を起こすことがあります。少しでもおかしいと思ったらセルフチェックではなく、ガス会社や専門業者に連絡しましょう。
ガス給湯器の修理・交換の平均費用
ガス給湯器は使えなくなると不便ですが、昨今の物価高騰が続いているなか、修理や交換にどの程度の費用かかるのかも気になるところです。
この章では、ガス給湯器を修理・交換した場合の平均費用について説明します。
ガス給湯器修理の費用相場
ガス給湯器修理の平均費用は、修理する箇所によって前後します。
各修理箇所の平均費用は、次の通りです。
ガス給湯器の修理箇所 |
修理の平均費用 |
---|---|
電装系 |
7,350~46,150円程度 |
安全装置 |
7,250~48,000円程度 |
燃焼系 |
15,500~38,000円程度 |
水流(量)制御系 |
9,750~36,500円程度 |
業者やメーカーの機種に対応する部品があるかどうかで、修理費用は異なります。
また、業者によっては3,000円前後の出張料が加算されることもあるため、修理を依頼する際に確認しましょう。
ガス給湯器交換の平均費用
ガス給湯器交換の平均費用は、給湯器とふろ給湯器によって異なります。
各給湯器の平均費用は、次の通りです。
ガス給湯器 |
交換の平均費用 |
---|---|
ふろ給湯器 |
158,000~260,000円程度 |
給湯器 |
91,000~190,000円程度 |
ガス給湯器の交換は、設置場所などの関係で、配管カバーや排気アダプターなどのオプション費用が加算されるケースも珍しくありません。
また、ふろ給湯器は、自動足し湯機能や床暖房の有無、タイプや機種、排気方法や設置場所によって費用が前後する場合があります。
まとめ
日常生活を快適に送るうえで不可欠なガス給湯器ですが、何らかの原因で突然、「ガスはつく・水は出るのにお湯が出なくなる」かもしれません。特に、購入して8年以上が経過している場合は、不安定な状態で使用を続けるとガス漏れや一酸化中毒の原因となるため、注意が必要です。
今回ご紹介した対処法を試しても改善できなければ、早めにガス会社や専門業者に連絡し、ガス給湯器の修理または交換を検討しましょう。
執筆年月日:2024年10月