コロニアル屋根の特徴とは?メンテナンスの方法や費用を紹介

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コロニアル屋根の特徴とは?メンテナンスの方法や費用を紹介

屋根の「コロニアル」は、ケイミュー株式会社が販売するスレート屋根の商品名です。屋根材として一般住宅にも普及しているため、自宅の屋根がコロニアルという方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、コロニアル屋根の特徴やメリット・デメリット、費用相場、劣化症状やメンテナンス方法まで詳しくご紹介します。

※コロニアルはケイミュー株式会社の登録商標です。

コロニアル屋根とは?

コロニアル屋根とは、屋根材メーカーのクボタ(現ケイミュー株式会社)が発売したスレートの商標名で、別名「スレート」「カラーベスト」と呼ばれることもあります。コロニアルはセメントや繊維を混ぜ合わせて薄い板に成形・加工した屋根材です。1枚は畳1畳ほどの大きさで、住宅の屋根に敷き詰めてから釘や接着剤で固定して使用されます。 

リーズナブルでデザインが豊富なコロニアルは、住宅屋根材として市場での普及率が非常に高いため、商品名ではあるものの屋根材の名称としても耳にすることがあるでしょう。 

ただし、2004年までに建てられた住宅にはアスベストを含んだコロニアルが使用されている可能性があるため、解体や撤去の際には注意が必要です。コロニアルの製造時期の違いによるアスベストの有無についてはのちほどご説明いたします。

コロニアル屋根のメリット

コロニアル屋根が一般家庭の屋根材として広く普及した理由には、コロニアル屋根が持つメリットが大きく関係しています。ここからは、コロニアル屋根を使用する4つのメリットについて詳しく見ていきましょう。

費用が安く済む場合が多い

コロニアルは一般に広く普及しており、瓦や金属系屋根材など他の屋根材と比較して施工費を安く抑えられるメリットがあります。コロニアルとその他の屋根材の費用相場を比較してみましょう。

 

1㎡あたりの費用相場

コロニアル

4,000~8,000円

ガルバリウム

6,000~12,000円

ジンカリウム

7,000~15,000円

8,000~16,000円

コロニアルは他の屋根材と比べて安いため、価格を重視する方におすすめです。

軽量で住宅への負担が小さい

コロニアルは厚さ5mmほどと薄く軽量で、分厚くて重さのある瓦などに比べ、住宅への負担が小さい屋根材です設置や撤去も比較的容易なほか、地震の揺れを軽減してくれるため、建物の耐震性を上げられるメリットもあります。 

 

屋根材1坪あたりの重量

コロニアル

約70kg

ガルバリウム

約40kg

約180kg

軽量な金属屋根材には重量面で劣るものの、設置や撤去が容易なことからも施工費を安く抑えられるでしょう。

カラーバリエーションが豊富

コロニアルは、黒、グレー、茶といった定番色からブルー、グリーンまで、豊富なカラーバリエーションがあり、選択肢が多いのも魅力の一つです。20色以上のカラーバリエーションを用意している商品もあり、豊富なラインナップの中から住宅のスタイルや好みに応じて色を選ぶことができます。 

また、同系色の異なるカラーを組み合わせれば、単色壁面とは違った印象の表現も可能です。表面の模様や形状にもさまざまな種類があり、個性豊かなデザインが実現できるでしょう。

施工がしやすく工期が短い

コロニアルは薄型・軽量で加工が容易で、施工しやすい屋根材です。分厚く重量のある瓦や塗装に手間のかかる金属屋根材などに比べて施工がしやすく、工期を短縮できるメリットもあります。 

多くの業者で取り扱いのあるコロニアルであれば、失敗のリスクも少なく、安心して採用することができるでしょう。また、塗装のリフォームの際に必要な下地処理作業(ケレン)も金属屋根材に比べて簡単なため、葺き替えや重ね葺きを行う場合も工期を短縮できます。

コロニアル屋根のデメリット

さまざまなメリットがあり、多くの建物に採用されているコロニアルですが、いくつかのデメリットもあります。コロニアル屋根をお考えの場合は、デメリットもよく理解した上で屋根材を選ぶと良いでしょう。

汚れやすいデザイン

コロニアルは表面に凹凸のあるデザインのため、隙間に汚れが溜まりやすいデメリットがあります。屋根は日光や風雨にさらされるうちに徐々に汚れていき、汚れが付着すると見た目が悪くなる上、屋根の劣化にもつながりかねません。 

また、表面の塗装が痛んで色褪せてくるとコロニアル表面の防水効果が弱まり、さらに汚れが付着しやすくなります。コロニアル屋根を採用する場合は、定期的に掃除やメンテナンスを行いましょう。

薄くひび割れしやすい

コロニアル屋根は薄くて軽量なのがメリットですが、その半面、衝撃や経年劣化などによってひび割れしやすいデメリットもあります。特に作業中に人が乗ったり、台風で強風が吹いて飛来物がぶつかったりすると、ひびが入ってしまうことがあります。 

台風の後には破損箇所がないかチェックし、定期的に点検や補修を受けると良いでしょう。また、外壁の清掃や屋根の点検を自分で行う場合は、コロニアルを割ってしまわないよう気をつけましょう。

断熱性が低い

コロニアルには断熱性が低く、凍結に弱いデメリットもあります。そのため、雪が多い地域や寒冷地での設置には向いていません。 

コロニアルは塗装されていてもわずかに吸水性があり、素材内部の水分が凍結と融解を繰り返すことで、ひび割れしやすくなります。雨や雪が多い地域に設置すると、水分によるひび割れがさらなる劣化につながるおそれもあります。お住まいの地域がコロニアルに向いているか知りたい場合は、業者に確認してみましょう。

2004年以前に設置されたコロニアルはアスベストに注意

コロニアルは1970年代の発売以来、いくつかの後継品が作られており、古いコロニアル屋根にはアスベスト(石綿)が使われているものがあります。アスベスト禁止以前の2004年までに建てられた住宅には、アスベストを含むコロニアルが使用されている可能性があるため、注意が必要です。 

アスベストを含むコロニアル屋根の住宅に住んでいても健康被害の恐れはありませんが、工事を行う場合は特別な対応が必要になります。アスベストはセメントで固められているため飛散リスクは低いとされていますが、リフォームや撤去を行う際には、アスベストが飛散しないよう粉じん対策を行わなければなりません。 

また、工事前の計画書作成や石綿作業主任者の選定など、業者の負担が増えるため、アスベスト対策として追加費用が発生するケースもあります。リフォームや撤去をお考えの場合は、国土交通省および経済産業省が提供する「石綿(アスベスト)含有建材データベース」を参考に、ご自宅の屋根がアスベストを含むかどうか、調べておくと良いでしょう。

コロニアルの劣化症状

コロニアルにはひび割れしやすい特徴がありますが、その他にもいくつかの劣化症状があります。劣化症状が見られた場合は、症状ごとに適切な補修が必要です。それぞれの劣化症状について、見ていきましょう。

色あせ・変色

コロニアルは塗膜が紫外線などの影響を受けることで、色あせや変色することがあります。特に屋根は建物の中でも紫外線や雨風の影響を受けやすく、塗膜が劣化しやすい部分です。色あせしていても、すぐに塗膜の防水性が失われるわけではありませんが、放置しておくと雨漏りや屋根の腐食など劣化の原因になります。 

コロニアルが色あせて、表面に白い粉が吹き出る「チョーキング現象」が見られた場合は、点検や再塗装を依頼しましょう。

コケ・カビ・藻の発生

コロニアルは表面に凹凸があるデザインのため、溝に水分がたまりやすい特徴があります。コロニアルの塗膜が劣化して防水性が低下すると、表面に残った水分や汚れからコケやカビ、藻が発生することがあります。 

コケやカビ、藻が発生すると見た目が悪くなるだけでなく、屋根表面の水はけが悪くなり、さらなる劣化につながりかねません。コケやカビが生えたまま放置すると、屋根が腐食して雨漏りの原因にもなるため、見つけた時点で早めに対処しましょう。

塗装の剥がれ

コロニアルは表面の劣化が進んだり、強風により飛来物が当たったりすることで、塗装の剥がれが生じることがあります。塗膜が剥がれた場合は、古い塗膜が残っていると再塗装してもすぐに剥がれてしまう恐れがあるため、高圧洗浄してから再塗装を行わなければなりません。 

また、塗膜が剝がれたコロニアルは、隙間から雨水が入り込みやすくなるため、本体の内部まで劣化が進んでいる可能性もあります。すぐに点検を依頼し、葺き替えも検討しましょう。

反り・ひび・欠け

コロニアルは防水性がないため、本体に水分がしみ込んだり乾燥したりすることで、屋根の一部に反り、ひび、欠けが生じてしまうことがあります。さらにコロニアルに反りやひび、欠けがある状態で放置すると、雨水がコロニアル内部に浸入し、屋根のひび割れや雨漏りにもつながる恐れもあるでしょう。 

この段階まで劣化が進んでいるコロニアルは塗装では補修できず、葺き替えや重ね葺きなどの工事が必要になります。早めに点検を依頼しましょう。

コロニアルの劣化症状への対策

屋根材の下には防水シートがあり、コロニアルに反りやひび割れが発生してもすぐに雨漏りすることはありませんが、そのまま放置して劣化が進行すると、雨漏りやより大きな破損につながる恐れがあります。コロニアルの劣化症状に気づいたら、再塗装や重ね葺き、葺き替えなどの対策を行いましょう。

再塗装

再塗装は、コロニアル表面に塗料を塗ることで、劣化を防ぐ方法です。耐久性の高い塗料や遮熱塗料、断熱塗料などを使用することで、反りやひびを予防し、補修の頻度を減らす効果が期待できます。

重ね葺き

重ね葺きとは、古いコロニアルの上から新しい屋根材をかぶせる補修方法で、ガルバリウムやジンカリウムなどの金属屋根材が使用されます。ただし、コロニアル内部まで劣化が進行している場合は、葺き替えを行いましょう。

葺き替え

葺き替えとは、古いコロニアルを撤去して新しい屋根材に交換する方法です。重ね葺きよりも費用がかかりますが、コロニアルの劣化が内部まで進行してしまっている場合にも効果的です。

まとめ

コロニアルには豊かなカラーバリエーションや価格など、多くの建物に採用される優れた特徴がある一方で、汚れや破損が起こりやすいデメリットもあります。しかし、定期的な掃除やメンテナンスによって耐久性が上がり、寿命を延ばせます。 

特に屋根は紫外線や雨風によって影響を受けやすいため、定期的にチェックを行い、劣化が見られる場合は、早めに業者に相談するのがおすすめです。

執筆年月日:2024年12月
※内容は2024年12月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。

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