自分でピッキングはできる?鍵を開ける方法や注意点を紹介

鍵の紛失や破損で扉を開けられないと焦るものです。何とか室内に入れないかと考える人も多いでしょう。
鍵を使わずに開錠するには、ピッキングやカム送りなど複数の手段がありますが、専門知識や技術が必要な方法も少なくありません。
今回は、一般的に多く用いられているシリンダー錠について構造や開く仕組みを紹介し、専門業者の開錠方法や自分で可能な対処はあるのかを解説します。
開かなくなった鍵を自分で開けることは可能?
鍵が開かなくなった場合、方法によっては自分で開けることも可能です。しかし、知識や技術のない状態で無理にこじ開けようとすると、鍵本体や建物を傷つけてしまうため気を付けなければなりません。
業者に依頼すれば、専門の工具を用いて開錠してもらえます。短時間で開けてもらえる場合が多く、もし鍵や扉を壊す必要があっても、修理まで併せてしてもらえます。セキュリティ面でも、業者に任せるのがおすすめです。
どうしても自分で開けたい場合、まずはシリンダー錠の構造や仕組みをよく理解し、手持ちの器具でどのような処置を行えるか考えましょう。
シリンダー錠の構造と鍵が開く仕組みを解説
シリンダー錠の錠前は、図のような構造になっています。
鍵が開いたり閉まったりする仕組みに関わるのは、主に下記の3つのパーツです。
- サムターン:室内から操作するつまみ
- 錠ケース:扉を施錠する役割を担う
- シリンダー(鍵穴):室外から操作する部分
シリンダー内部にはタンブラーがあります。正しい鍵の挿入がないときに、鍵が回らないようにロックしている障害物です。
わかりやすいように、比較的単純な構造をしたピンシリンダーの画像で説明しましょう。
ピンシリンダーは、タンブラーの形状がピン構造になっているものです。鍵を挿していないときは、「上ピンと下ピンの隙間」が「外筒と内筒の隙間」と揃わず、鍵は回りません。
タンブラーが正しい位置にあれば隙間が揃って鍵を回せます。錠ケースの操作が可能になり、鍵が開く仕組みです。
鍵本体や建物を傷つけずに鍵を開ける方法
扉の鍵が開かないとき、壊して中に入る方法もありますが、自宅や大切な場所の扉である場合、その後のセキュリティが心配です。そのため、できれば破壊をともなわない方法で開錠したい人が多いでしょう。
鍵本体や建物を傷つけずに開けるには、どのような方法があるか詳しく紹介します。
合鍵を使用する
合鍵を使用すれば安全に中に入れるため、合鍵を持っている家族に開けてもらうのはひとつの方法です。アパートやマンションでは、家主や管理会社が合鍵を保管している場合もあるため、借りられるか確認してみましょう。
鍵のかかっていない窓から入り家の中から開ける
合鍵がない場合やすぐに使えないときには、鍵のかかっていない窓がないか確認してみましょう。うっかり鍵をかけ忘れている窓があれば、そこから中に入って家の玄関に行き、内側からの開錠が可能です。
カム送り(バイパス開錠)
鍵穴を使わずに錠ケースの操作をする方法のひとつにカム送り(バイパス開錠)があります。シリンダーによっては、錠ケースを覆って隠す「シリンダーカラー」というカバーが付いています。シリンダーカラーを手前に引っ張ると隙間が開くタイプの錠ケースでは、その隙間から工具を入れて操作すると開錠できる場合があり、この方法がカム送りです。
特殊な工具を持っていない場合、針金でも開錠可能です。鍵を使わず、また鍵本体や扉を傷つけずに開けられます。
ただし、犯罪の手口として使われたことにより、現在販売されている錠ケースはメーカー側が対策を取っており、カム送りが不可能なようになっています。
カム送りができるのは下記の錠ケースです。刻印を見て判断しましょう。
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メーカー |
カム送りができる錠ケース |
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ショウワ |
SHOWA 397、SHOWA 535、SHOWA CL-30 |
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美和ロック |
MIWA LA・MA、MIWA LD、MIWA LDSP、MIWA BH、MIWA BHSP |
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ゴール |
GOAL HD、GOAL ASLX |
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堀商店 |
HORI(刻印なし。品番1210、1310、1110、1171、1311) |
ピッキング
ピッキングは、鍵穴からタンブラーのピンの位置を調節して、鍵を開ける方法です。「テンション」と「ピック」という道具を使います。
前述のシリンダー錠の構造・仕組みの解説にあったように、「上ピンと下ピンの隙間」と「外筒と内筒の隙間」が揃えば、シリンダー錠が開けられます。ピッキングでは、テンションを用いて回転力を加えることで、隙間が揃う高さに来たときに上ピンが内筒に乗り、外筒の中に留まるため開錠できるのです。
下記の手順で開錠します。
- 鍵穴にテンションをかける
- 隙間が揃う高さまでピンをピックで持ち上げる
- ピンを内筒に乗せる
- 全てのピンを3の状態にすると鍵が回る
ピンを持ち上げる高さは、ピンの重さの手ごたえで判断します。ピンが内筒に乗って、押しても手ごたえを感じなくなる高さまで持ち上げましょう。
このように、ピッキングを行えば鍵がなくても開錠可能です。ただし、テンションとピックは犯罪防止のため、特殊開錠用具所持禁止法(ピッキング防止法)によって一般の人の所持は禁じられています。
理論上はクリップやヘアピンといった身近にある細長い金属を曲げれば代用可能ですが、中で折れて鍵穴が詰まってしまうこともあるため注意が必要です。また、中のタンブラーに傷を付けてしまうと、正しい鍵を使っても開かなくなる危険性があります。
鍵屋なら専用の道具を使って安全に開錠することができるため、無理せず依頼しましょう。
インテグラル錠
インテグラル錠が開かなくなった場合もピッキングで開錠が可能です。インテグラル錠とは、扉のノブ(持ち手)と鍵が一体になった錠前で、外側のノブにシリンダー、内側のノブにサムターンが付いています。サムターンや鍵を回すとかんぬきが飛び出して、鍵がかかる仕組みです。ノブの形は、レバーハンドルと握り玉のタイプがあります。
防犯性が低いため、現在は玄関の扉にはほぼ使用されていませんが、インテグラル錠はシンプルな構造であるため比較的開錠しやすい鍵だといえます。
※美和ロック・MIWAは美和ロック株式会社の商標または登録商標です。
※ゴール・GOALはゴール株式会社の商標または登録商標です。
※HORIは堀商店の商標または登録商標です。
鍵本体や建物などの破壊をともなう方法
誰かが閉じ込められたまま鍵が開かなくなり、中の人が危険に晒されているようなケースでは、手段を選ばずに扉を開けたい場合もあるでしょう。鍵本体や建物などを破壊してでも扉を開けたいときに試せる方法を紹介します。
サムターン回し
扉に開けた穴から室内のサムターンを回して直接開錠操作をする方法です。インパクトドライバーなどを用いて扉に穴を開け、L字の棒でサムターンを回します。
ただし、サムターン回しのために扉に大きな穴を開けると、開錠後は扉ごと交換が必要になり、費用が高額になる可能性もあります。鍵屋の多くはサムターン回しの専用道具を所持しており、ドアポストやドアスコープの穴を利用した実施が可能です。扉の破損を必要最低限に抑えられるため、相談してみましょう。
シリンダーの破壊
シリンダーを壊して直接錠ケースにアクセスし、開錠する方法です。作業は単純ですが、硬くて丈夫な金属の場合は、専用器具でなければ破壊に数時間かかることもあります。
また、開錠後はシリンダーを交換しなければならず、鍵の種類によっては費用が高額になります。
窓破り
窓ガラスを割って室内に入り、内側から玄関の鍵を開ける方法です。防犯性の低い窓があれば、数分で入れます。
ただし、防犯対策された窓の多くは強化ガラスが用いられており、ハンマーで叩いても割れないこともあります。また、強化ガラスは高額であるため、破損後の修理は大きな出費になりがちです。
スマートロック・電子錠の鍵開けの対応方法
近年は、物理キーを使わないスマートロックや電子錠が設置された扉も増えています。カードキーやスマートフォンで開錠できるのは便利ですが、自動施錠機能や電池切れが原因で締め出されることがあるため注意が必要です。
スマートロックや電子錠が開かなくなった場合、対処法は製品によって大きく異なります。自分で開けることは困難な場合が多いため、鍵屋に相談しましょう。
自力での鍵開けが難しい場合は専門業者への依頼が安全
鍵の種類によっては自力で鍵開けができるものもありますが、失敗するとかえって高額の費用が必要になるため、リスクは高いといえるでしょう。自力での鍵開けが難しい場合は、専門業者へ依頼するのが安全です。開錠を鍵屋に依頼するメリットや費用相場を解説します。
鍵屋に依頼するメリット
滞りなく鍵開けをするには、専門性の高い知識や技術が必要です。鍵屋は専用の道具を所持しているため、鍵の種類に合わせて適切な対処法で開錠できます。鍵屋に依頼すれば、安全でスピーディに開錠できるのがメリットです。
また、近年の鍵は単純な構造のものに見えても防犯対策がされていて、鍵を使わない開錠は難易度が高いものが少なくありません。素人では開かないものも多いため、専門業者に相談するのが確実です。
鍵屋に開錠を依頼した場合の費用相場
鍵屋に依頼をすると開錠費用がかかります。費用相場は下記のとおりです。
|
鍵開けの方法 |
相場 |
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ピッキング |
8,000~25,000円 |
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サムターン回し |
15,000~30,000円 |
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破錠 |
19,000~50,000円 |
出張料金や深夜料金が別途かかる場合もあります。また、鍵や扉を壊す方法では修理代も必要です。
しかし、自分で鍵を開けようとして失敗した場合、余計な出費につながる場合も少なくありません。鍵屋に相談すれば費用を必要最低限に抑えられるといえるでしょう。
まとめ
鍵を自分で開ける手段はいくつかありますが、誤った方法で開錠すると、鍵が壊れて使用できなくなる場合も少なくありません。失敗したら費用が余計にかかってしまうこともあります。
自分で鍵開けをすることに少しでも不安がある場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。専門の道具を使って素早く開錠してもらえて、セキュリティ面も安心です。ぜひ近くの鍵屋を探してみてください。
執筆年月日:2025年9月
※内容は2025年9月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。
