父親・母親が亡くなった後に行う手続き|やるべきこと・必要書類を紹介

父親や母親が亡くなったとき、心の準備が整わない中でも、すぐに進めるべき手続きが多くあります。いざというときに戸惑わないよう、あらかじめ流れを把握しておくことで、冷静に対応できるでしょう。
この記事では、父親や母親が亡くなった後の葬儀の進め方や必要となる手続きについて、順を追ってわかりやすくご紹介します。
死亡直後から葬儀までの手続き
葬儀が終わるまでの数日間は、喪主を中心にさまざまな準備や手続きを短期間で進める必要があります。行うべき手続きを日ごとに整理してみましょう。
死亡当日
【死亡診断書の受け取り】
故人が病院で亡くなった場合は、担当医師が「死亡診断書」を発行します。自宅など医師がいない場所で亡くなった場合は、警察への連絡が必要となるケースもありますが、確認後、医師によって作成されるのが「死体検案書」です。
いずれも死亡の事実を証明する大切な書類であり、火葬やその後の各種手続きに使用します。原本は1通のみのため、写しを複数用意しておくと役所や金融機関などでの手続きがスムーズになるでしょう。
【親族・関係者への連絡】
家族や親戚、故人の友人、上司や同僚など勤務先関係者へも連絡を行います。連絡の範囲や内容は故人との関係性に応じて調整し、故人が希望を遺していた場合には、内容を参考にしましょう。
親族や関係者への連絡手段として、電話やメールのほか、SNSを活用しても構いません。誰にどのような方法で連絡したかを整理しておくと、香典返しや四十九日法要などの案内時に役立ちます。
【葬儀社の選定】
葬儀社の選定は、限られた時間の中で進めなければなりません。生前予約をしてある場合は葬儀社へすみやかに連絡し、決まっていない場合は地域の葬儀社を探してすぐに相談しましょう。予算や宗教形式、会場の有無などを基に比較し、信頼できる業者を選ぶことが大切です。
葬儀社は、遺体搬送や式場の手配、火葬場の予約など葬儀全般をサポートしてくれます。事前に家族で葬儀の希望や契約状況について話し合っておくと安心です。
【遺体の搬送】
葬儀社が決まったら、遺体の搬送を依頼します。搬送には「死亡診断書」または「死体検案書」が必要です。搬送先は自宅や安置施設、葬儀場などが一般的で、多くの葬儀社は深夜や早朝でも対応しています。葬儀社が未定の場合は、搬送のみを依頼することも可能です。
また、搬送の際に家族が同乗できるかも確認しておくと安心です。安置先では枕飾りやドライアイスなどの準備が必要になるため、葬儀社のアドバイスに従って準備を進めましょう。
2日目
【死亡届の提出】
死亡届は、故人が亡くなった日からから7日以内(ただし、故人が遠方で亡くなるなどの事情で死亡を後日知った場合は、死亡の事実を知った日から7日以内)に市区町村役場に提出する必要があります。
提出先は、死亡地・本籍地・届出人の住所地のいずれかです。たとえば、自宅から遠方の病院で亡くなった場合、その病院のある自治体に提出することもできます。
必要書類は死亡診断書と届出用紙で、印鑑も忘れずに持参しましょう。提出は通常、喪主や同居の親族が行いますが、葬儀社に相談して代行してもらうこともできます。
【火葬許可証の取得】
死亡届が受理されると、市区町村役場から「火葬許可証」が発行されます。この書類がなければ火葬は行えません。
火葬許可証は、死亡届を提出した人が受け取り火葬場に提出します。葬儀社が死亡届の提出を代行している場合は、葬儀社が受け取ります。
火葬許可証は、火葬や埋葬に関する手続きの際に最初に必要になる書類です。同じような名称の書類が続きますが、いずれも大切に保管しましょう。
【お通夜の実施】
お通夜は、葬儀の前日に営まれる儀式です。執り行われることが多い仏式では、僧侶による読経や焼香が行われますが、宗派によって内容は異なる場合もあります。菩提寺がある場合は日程などを調整し、ない場合は葬儀社に相談しましょう。
受付係の依頼や参列者のお迎え、お見送りなども遺族の役割です。お通夜のあとには「通夜ぶるまい」と呼ばれる会食の席が設けられることもあり、故人を偲びながら、親族や参列者が語らう場となります。
3日目
【葬儀の実施】
葬儀は、故人に弔意を表す大切な時間です。宗派によって異なる場合もありますが、仏式では読経や焼香、弔辞などを行うのが一般的です。多くの場合、進行は葬儀社が担当し、喪主や遺族は挨拶や会葬御礼、参列者への対応などを担います。
地域によっては、先に火葬を行う「骨葬(前火葬)」の形式をとることもあります。葬儀のあとに「精進落とし(会食)」を行う場合もあるため、火葬の日程も含め葬儀社との調整が必要です。
【出棺・火葬の実施】
葬儀が終わると、棺を霊柩車に乗せて火葬場へ出発する「出棺」を行います。火葬場では、火葬前に僧侶による読経が行われることもあり、ご遺体に別れを告げる場となります。
火葬中は控室で待機し、軽食や食事をふるまう場合は葬儀社に相談しましょう。火葬が終わると、遺骨を骨壺に収める「収骨」が行われます。この一連の流れは、遺族にとって心の整理をつける大切な時間といえるでしょう。
【火葬証明書の取得】
火葬が終わると、火葬場から「火葬証明書」が交付されます。多くの場合、この書類は火葬前に発行された「火葬許可証」に火葬済みの印が押されたもので「埋葬許可証」として納骨の際に必ず必要です。
証明書は骨壺と一緒に返却され、そのまま埋葬まで一緒に保管しておかなければなりません。すぐに納骨しない場合でも誰かに預けたりせず、将来の納骨に備えて管理しておきましょう。
【初七日法要】
初七日法要とは、故人が亡くなった日から数えて七日目に行う仏式の儀式です。僧侶による読経や焼香が行われ、法要後には会食の席が設けられることもあります。宗派や地域によって進め方は異なるため、不明な点は葬儀社に相談しましょう。
近年では遺族や参列者の負担を考慮し、葬儀当日に繰り上げて実施されるケースも多く見られます。繰り上げて法要を行うかは、菩提寺や葬儀社とも相談し、無理のない形で故人を偲びましょう。
葬儀後の手続き
葬儀が終わって一息つきたいところですが、やるべきことはまだ残されています。期限が設けられている手続きもあり、計画的に進めることが重要です。ここからは、葬儀後の主な手続きについてご紹介します。
葬儀費用の支払いと領収書の取得
葬儀後は、葬儀社からの請求書に基づいて費用を精算します。おおむね一週間以内に精算する場合が多いですが、当日に支払いが必要なこともあるため確認が必要です。
また、葬儀代を故人の預金から支払う際には、遺族で意向を共有しておくことが大切です。死亡届出後の預金引き出しには一定の制限がかかり、対応に時間を要する場合もあります。
葬儀費用支払い後には葬儀社から領収書を受け取り、市町村役場への葬祭費の申請に備えて保管しておきましょう。
役所での手続き
死亡後は、保険証の返却や世帯主変更など、役所での各種手続きが必要になります。窓口が異なる場合もあるため、必要書類や印鑑をそろえて効率よく回りましょう。
以下は役所での主な手続きと提出期限です。なお、故人が社会保険や共済保険に加入していた場合の保険証の手続きについては、勤務先へ確認しましょう。
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手続き内容 |
提出期限 |
|---|---|
|
健康保険の資格喪失届 |
健康保険:5日以内 |
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介護保険資格喪失届 |
14日以内 |
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住民票の世帯主変更届 |
14日以内 |
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葬祭費の請求(故人が世帯主の場合) |
2年以内 |
提出期限を過ぎても罰則を受けることはありませんが、忘れずに手続きを済ませましょう。
年金に関する手続き
故人が年金を受給していた場合は、受給停止の手続きを行う必要があります。年金の種類によって申請期限が異なるため、以下の期限を参考に対応しましょう。
いずれの年金も年金事務所で手続きします。遅れると過払い分の返還が求められるため注意が必要です。また、未支給年金がある場合は請求を行いましょう。
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手続き内容 |
提出期限 |
|---|---|
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国民年金の受給停止 |
死亡後14日以内 |
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厚生年金・共済年金の受給停止 |
死亡後10日以内 |
手続きの際には、年金手帳や基礎年金番号のわかる書類、戸籍謄本(死亡の記載があるもの)、死亡診断書の写し、本人確認書類、印鑑などが必要です。なお、遺族年金の申請は制度により期限が異なるため、年金事務所に問い合わせましょう。
故人名義の契約に関する手続き
光熱費や携帯電話、インターネット、新聞、クレジットカードなど、故人名義で契約しているサービスについては、解約または名義変更の手続きが必要です。契約書や通帳、請求書などを確認し、不要な契約は早めに各業者へ連絡を取りましょう。
手続きをせずに放置すると、料金が発生し続けるため注意が必要です。故人が亡くなってから慌てることのないよう、日ごろからどのような契約をしているかを家族と共有しておきましょう。
公的な手続き
故人が所持していた運転免許証やパスポートなどの公的証明書は、それぞれの発行機関で返納や失効手続きを行います。明確な期限はありませんが、不正利用防止の観点から、早めの手続きがのぞましいとされています。
なお、マイナンバーカードは、死亡届の提出によって自動的に失効するため、返納の必要はありません。また、生活保護を受けていた場合には、福祉事務所への届出が必要です。
税金関係の手続き
故人が生前に得た所得がある場合は、死亡日から4ヵ月以内に税務署で「準確定申告」をする必要があります。場合によっては税金が還付されることもあるため、期限内に手続きしましょう。
また、固定資産税や住民税など故人にかかっていた税金の支払いは相続人が行う必要があります。納付の遅れを防ぐためにも、なるべく早く相続協議を行い、市区町村役場や税務署で確認しながら手続きを進めましょう。
手続きの内容が複雑で不安な場合は、税理士などの専門家に相談するのも一つの方法です。
相続に関する手続き
相続は法律に基づく重要な手続きで、期限のあるものも含まれます。相続放棄や限定承認は故人の死亡を知ってから3ヵ月以内、相続税の申告・納付は死亡から10ヵ月以内と定められています。まずは遺言書の有無を確認し、相続人全員で話し合いましょう。不動産や預貯金などの名義変更も必要です。
また、相続した不動産は、相続した日から3年以内に相続登記をする必要があります。相続登記は義務化されており、怠ると過料が科される場合もあるため、早めの対応が求められます。内容が複雑な場合は、司法書士や税理士などの専門家に相談しましょう。
まとめ
父親や母親が亡くなった後は、たとえ気持ちの整理がつかない中でも、葬儀や手続きを進めなければなりません。仕事や日常生活と並行しての対応が必要になりますが、事前にやるべきことを把握し、家族で情報を共有しておくことで負担が軽減できます。必要に応じて葬儀社や専門家の力も借りながら、ひとつひとつ進めていきましょう。
執筆年月日:2025年6月
※内容は2025年6月時点の情報です。法律や制度は改正する場合があります。
