おくの内科クリニック 病院の特色 医療の未来をつくる全国からの声診療所探訪スタッフ、基幹病院との連携をベースに、限られた時間で最善の医療を長崎県長崎市おくの内科クリニック院長 奥野 信一郎先生 開業して間もなく10年。受診者が順調に増加する一方で、おくの内科クリニックの奥野信一郎先生は『患者さん1人あたりの診療時間は、当初より短くなってしまいました』と苦笑します。しかし、それは診療の質の低下を意味するものではありません。ここでは、先生自身の経験、スタッフや基幹病院との連携をベースに、個々に合わせた最適な医療が提供されています。
食を重視し、合併症を回避する 糖尿病の診療において、患者さんの食生活の把握を最も重視する奥野先生。その背景について尋ねると、次のようなエピソードを語ってくれました。その患者さんの職場には、清涼飲料水が常備されていて、いつでも飲むことができたそうです。飲まないように繰り返し伝えても、周囲につられてついつい飲んでしまう生活習慣は容易に変えられず、薬物治療の甲斐もむなしく最終的に透析の導入に至りました。 奥野先生は、『糖尿病治療の原点は“食”にある、そこをおろそかにしては薬物治療の効果も期待できません』と後悔の念をにじませながら振り返り、こう強調します。『現代は糖尿病を悪化させる食べ物があふれています。患者さんによって嗜好も異なります。問診で探り出すのは簡単ではありません。しかし、それを突き止め、改善に導くことで合併症を回避できる人はたくさんいるのです』。 情報の漏れをなくすスタッフの貢献 糖尿病診療を柱に据えつつ、患者さんのあらゆる訴えに対応する同クリニック。『患者さんが来たときに来院でき、どんなことでも相談に乗り、かつ気楽に話せるクリニックでありたい』と話す奥野先生にとって、看護師をはじめとするスタッフは非常に心強い存在だそうです。 『スタッフは患者さんと気軽に話をしてくれていて、話しやすい雰囲気づくりという点では、むしろ私が引っ張ってもらっているような感じです』と表情を緩めます。待合室や処置室でスタッフが聞き取った情報が、治療方針の立案や変更の糸口になることもあるそうです。スタッフの貢献について語ってくれた先生。その話題の終わり際に、念を押すかのようにポツリとつぶやきました。『いや、本当に助かっていますね』と。