記事作成:2015年4月

相続税対策は生前に!
あなたに合った早めの対策が成功のカギ

税理士による相続アドバイス
相続税を節税したいなら、少しでも早めに対策することが大切。亡くなってからでは、できることが限られます。

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Q&A

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相続税対策はいつやるの?

相続税対策は、いわゆる「節税」です。節税は、必ずやらなければならない、というものではありません。しかし、何も対策をしないと「三代相続すると財産がなくなる」などと言われることもあるのが相続税。子や孫に少しでも財産を残してあげたい、でも相続税の負担は軽くしてあげたい、と考えるなら、相続税対策の検討は不可欠です。

相続税対策は、生前に行っておくのが基本です。亡くなってからでもできる対策はありますが、生前対策に比べると、できることが限られてきます。また実際に相続が始まると、遺産分割で思わぬ争いが発生して節税どころではなくなってしまうケースも少なくありません。ですから相続税対策をお考えの方は、ぜひ早いうちから準備しておくことをおすすめします。

相続税対策の具体例は?

一口に相続税対策といっても、さまざまな方法がありますが、生前対策のおもな例として、ほんの一部をご紹介します。

◎住宅取得等資金の贈与税の非課税の活用

20歳以上の子などが、自分が住むための家を新築や購入、増改築するときに、そのための資金を父や祖父などから贈与された場合、贈与税が非課税となります。省エネルギー性(長期優良住宅)の場合で1,500万円まで、それ以外の場合は1,000万円までが非課税です。この制度を利用すると、贈与税がかからないうえに相続財産を減らすことができるため、大きな節税になります。2015年3月15日までの期限つきでしたが、2019年6月30日まで延長されました。

◎不動産の課税価格の評価減を利用

土地や建物などの不動産は「財産評価基本通達」によってその価格を評価しますが、その不動産の利用状況によっては、評価額を下げる(評価減)ことができます。

たとえば、相続などによって取得した土地に亡くなった方が自宅を建てて住んでいた場合、その土地が亡くなった方の生活基盤であったことに配慮し、評価額を減額できるという制度(小規模宅地特例)があります。この制度を使うと、一定の条件を満たしていれば、50%~80%の減額が可能です。

◎生命保険の非課税枠を利用

生命保険の死亡保険金はみなし相続財産となりますが、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があり、これを利用する方法です。たとえば、法定相続人が3人の場合には、500万円×3人=1,500万円が非課税となります。1,500万円以上の保険金を含めて5,000万円の相続財産があったとすると、課税対象が3,500万円になるわけです。

なお、この方法は相続税対策だけでなく、納税資金の確保や受取人を指定することで任意の人へ財産を残すことができるなど、いろいろなメリットがありますが、将来的には規制される可能性もあるので注意が必要です。

相続税対策のポイントは?

ご紹介した方法以外にも、さまざまな相続税対策が考えられますが、どの方法を利用するのがよいかはケースバイケースで判断が必要。ですから、できるだけ経験の豊富な専門家へ相談するのがポイントといえます。日本の相続税は「遺産課税方式」、つまり亡くなった人の財産に対して課税しますよ、という考え方が採用されているため、遺産分割が終わっているかどうかに関わらず、10ヵ月以内の納税義務が発生することも覚えておくべきでしょう。

メディアでは、「これだけ安くなります」「こうすると非課税にできます」などと、インパクトの大きいところだけを取り上げるケースも少なくありません。しかし、そうした情報だけを鵜呑みにして対策するのはあまりおすすめできません。税制は年々変化していますので、今できる対策が来年以降も通用するとはかぎらないのです。また、期限付きのものもありますから、知人がやっていた相続税対策がすでに存在しないことも十分に考えられます。

専門家に相談すれば、誰がどのような財産を相続するかというところからきちんと調べて、適切なアドバイスが可能ですから、相続税対策と思ってしたことが、かえって負担を増やしてしまった、というような失敗を避けられるでしょう。

相続は相続税対策だけで終わりません。相続全体を見通して、よりよい方法を選ぶようにしたいですね。

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