記事作成:2015年5月

相続登記は早めの手続きが肝心!
放っておくと不動産の売却がスムーズにいかなくなることも

司法書士による相続登記アドバイス
亡くなった方の不動産を相続したら、できるだけすみやかに相続登記をしておきましょう。
義務ではないからと放っておくと、あとで面倒なことになります。

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Q&A

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相続登記とは?

登記とは、登記簿に記載されている情報に変更があった場合に、その情報を更新することです。登記簿には、土地や建物などの不動産ごとに、面積、種類、構造といった不動産の物理的状況と、現在の所有者が誰かといった権利関係の情報が記載されています。

不動産の所有者が亡くなると相続が発生し、所有権が相続人に移転しますが、その移転の事実を登記簿に正しく反映させるため、登記簿の情報を更新しなくてはなりません。この登記が相続登記です。相続登記は、相続で不動産を取得した相続人自身が、その不動産を管轄する法務局に対して申請します。

ただ、相続登記は義務ではないので、やらなかったからといって何か罰を受けるということはありません。しかし、不動産の現状が把握できなくなるのを避けるため、所有者が変更されたらすみやかに登記を行い、常に最新の情報に更新しておくのが理想です。

相続登記をするのはどんなとき?

このように、相続登記は義務ではないのですが、相続した不動産を売却する、という場合には、相続登記が必須です。

たとえば、長男が相続した父親名義の土地を、父親名義のまま、第三者に売却することはできません。売却するには、いったん長男の名義に書き換え、売却後に第三者の名義に書き換える、という手続きが必要となります。

登記簿は、その不動産の所有者がどのように変遷したか、といったことを正確に記録する必要があります。そのため、相続人に所有権が移ったことを記載しないまま、第三者に渡すことができないのです。

また、すぐに売却する予定がなくても、相続人同士の話し合いで、誰が相続するか話がまとまっているのであれば、すみやかに相続登記をしておくべきでしょう。

あとで相続登記をしようと考えているうちに、他の相続人が翻意して手続きに協力しなくなったり、認知症で手続きができなくなったり、といったケースも少なくありません。

相続登記にかかる手間は?

相続登記は義務ではないため、亡くなった方の名義のままで残っている不動産が多く存在します。代々その土地に住んでいるというような場合、明治や大正時代から名義が変更されていない、ということも少なくありません。もし、そうした不動産を相続し、売却することになったら大変です。関係者が数十人にもなり、解決には多くの時間と費用がかかります。

相続登記の際には、亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの、すべての戸籍等を収集し、提出する必要があります。また、相続人全員で合意した遺産分割協議書の作成も必要です。そうした書類の収集や作成のために、ご自身で市役所や法務局などに何度も足を運ぶのは、かなりの負担となるでしょう。

こうしたことにならないよう、不動産の名義人が亡くなった場合は、できるだけ早く相続登記することを強くおすすめします。その際、手続きの方法についてわからない点や、書類の収集などは、相続登記に精通した司法書士などの専門家にぜひご相談ください。

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